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役員報酬を支払うことで理事のなり手を確保する策もある|理事会運営

管理組合の役員報酬 理事のなり手不足対策
役員報酬は、理事のなり手不足を解消の一策として、管理組合の運営で一般的になってきました。これまで理事会運営はボランティア精神を原則とされてきましたが、居住者の高齢化などを背景にこうした運営も限界になってきました。

マンションの役員はボランティアでやるもの?

管理組合の役員(理事・監事)は、理事会で土日がつぶれたり、時には居住者からのクレームを受けたりと大きな負担が生じます。

こうした負担に見合う報酬を支払うのは当然という考え方があります。報酬額にもよりますが、理事のなり手不足解消につながるケースもあります。

一方で、管理組合の追加費用の発生の他、居住者の中には、役員は報酬を受け取っているのだから、仕事をして当然という考えを持つ方が出てくる可能性があります。

また、役員報酬についての議論が進むと、どうせ費用負担が増えるのであれば区分所有者以外の専門家に理事は任せたほうが良いのではないかといった方向に進むケースも見られます。

いずれにしても、マンション毎に理事のなり手の確保が困難な理由が異なりますので、各々のマンション毎にしっかりとした議論をかさねることが重要です。

マンション管理組合における役員報酬の実態

では実際に、どのくらい役員報酬が支払われているのかといえば、国土交通省の「平成25年度マンション総合調査結果」にデータによると、20.6%のマンションで役員全員に、1.2%が理事長のみに役員報酬を支払っています

実際には、役員報酬を支払っているマンションは一般的に知られているよりも多くあり、新しいマンションほどその割合は高くなる傾向にあります。今後は役員のなり手不足を背景に、役員報酬の支払いが一般的になってくるでしょう。

役員報酬の支払いの有無(出所:平成25年度マンション総合調査)

平成25年度マンション総合調査│役員報酬の支払いの有無

平成25年度マンション総合調査によると、マンション役員(理事)への報酬の支払いは「報酬は支払っていない」が73.1%で最も多く、つぎに「役員全員に報酬を支払っている」が20.6%となっています。

国交省からも認めれている役員報酬の支払い

国土交通省が公表しているマンション標準管理規約においても役員が報酬を受けることが想定されています。よって、管理組合の役員が管理規約や細則の定めに従い報酬を受けとることは、何ら問題はなく、公に認められています。

管理規約に役員報酬についての記載がない場合には、総会での普通決議で足りると考えられますが、後々のトラブルを避けるため「役員報酬に関する細則」として定めることが望ましいでしょう。

標準管理規約
第37条 (役員の誠実義務等)
2 役員は、別に定めるところにより、役員としての活動に応ずる必要経費の支払と報酬を受けることができる

直接管理規約に報酬額を定めた場合の例
第○条 役員は、役員としての活動に応ずる以下の報酬の支払いを受けることができる。
役員報酬(年額)
理事長 ○○○○円
副理事長 ○○○○円
会計 ○○○○円
理事 ○○○○円
監事 ○○○○円

実際に管理組合で役員報酬制に切りかえる際に、現状の管理規約で無報酬とされている場合には、管理規約変更の手続きが必要となるため総会での特別決議が必要です。

役員の報酬額の目安

役員報酬の具体的な支払い方法やその額は、細則に定めるのが一般的です。当然、役員自身で報酬額を決めることは、他の居住者からの反発を招くことになりますので、総会の場で管理組合の了承を得る必要があります。

報酬は理事長のみに支払われる場合と役職にかかわらず支払われる場合がありますが、平成25年度マンション総合調査結果によると、各役員一律の場合の報酬平均額は2,600円/月です。
一方で役員報酬が一律でない場合には、理事長が9,200円/月、理事が4,400円/月、監事が4,100円/月となっています。
役員報酬が各役員一律の場合の報酬額/月(出所:平成25年度マンション総合調査)

平成25年度マンション総合調査│役員報酬が各役員一律の場合の報酬額/月

役員報酬が各役員一律の場合の月当たりの報酬額の分布についてみると「1,000円以下」が49.5%と最も多く、次いで「1,000円超2,000円以下」が20.8%、「2,000円超3,000円以下」と「4,000円超5,000円以下」が7.9%。報酬額平均は『2,600 円/月』となっています。

役員報酬が役員一律でない場合の理事長の報酬額/月(出所:平成25年度マンション総合調査)

平成25年度マンション総合調査│役員報酬が役員一律でない場合の理事長の報酬額/月

役員(理事)報酬が一律でない場合の月当たりの理事長の報酬額の分布についてみると「10,000円超」が22.7%と最も多く、つぎに「2,000円超3,000円以下」が14.2%、「1,000円超2,000円以下」が13.6%。報酬額平均は『9,200円/月』となっています。

まとめ

分譲マンションでは、区分所有者の中から理事が輪番や立候補で選任され、管理組合の日常の業務を執行することになっています。

理事は、区分所有者の大切な共有財産であるマンションの価値を守るためその職務は広範囲におよびますので、時間や労力を負担しなければなりません。

特に理事長は、管理会社の担当者とのやり取りや書類への押印等、その負担は想像以上に多いのが現実です。その負担への対価として、理事に報酬を支払うマンションのもあります。理事に報酬を支払うことは、規約や総会の決議で決定することができます。

しかし、実際に報酬を支払っているマンション管理組合は20%程度に留まっています。役員報酬に対する考え方はそれぞれで一概にはいえませんが、報酬制度は、労力に見合う対価の支払いとして合理的ではあるでしょう。

一方で報酬を支払うことで理事は仕事をして当然と言った無責任な考え方をする区分所有者がでてくる危険性もありますが、実際にマンションの役員は多くの時間や労力を必要とするので、それに対して報酬が支払うことは妥当といえます。

ただし、報酬の額によって報酬の意味合いがかわってきます。例えば、報酬額が少ない場合には、報酬というよりもねぎらいの意味を持っている一方で、報酬額が高額になると役員という立場が利権化する恐れもあります。特に無報酬の管理組合が報酬制を採用する場合には慎重に議論する必要があるでしょう。

報酬を高めに設定する場合には、思い切って「専門家が理事に就任」する第三者管理方式などを検討し、外部から専門家を有償で選任することも考えられるでしょう。

※なお、管理組合の役員に、経費の実費弁償とは別に役員報酬を支払うと(経費として使った分の領収書がないと、役員報酬とみなされます。)給与に当たるものと解され、給与所得に対する源泉徴収が必要となるケースがあります。
理事のなり手不足対策
理事のなり手不足対策研究会

当研究会は、マンション管理に携わるコンサルタント有志によって設立されました。
居住者の高齢化や、無関心などにより理事のなり手が不足している分譲マンションの問題を解決することを目的とした研究・情報発信をおこなっています。

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