「理事長の教科書」は、新任の理事の方々が管理組合運営をおこなう上で知っておきたいことや、トラブル解決の手がかりになるように、わかりやすくとりまとめたマンション管理の手引きです。日々のマンション管理にお役立てください。

高齢化問題はマンション管理組合が早急に組むべき課題|理事会運営

高齢化による理事のなり手不足 理事のなり手不足対策
マンションの築年数の経過とともに、そこに住まう居住者の方も高齢化していきます。現在、日本に供給されているマンションは600万戸と言われていますが、既にそのうちの100万戸が築30年以上の高経年マンションです。築30年以上のマンションだと居住者のほとんどの方が高齢世帯で、管理組合役員の担い手が不足し、管理組合の運営もままならないマンションも増えています。これからますます深刻になるであろうマンションの高齢化問題について考えてみます。

マンションの高齢化の実態

国土交通省による調査では、分譲マンションの世帯主の年齢の平成11年度から平成25年度の推移をみると、60歳代、70歳代以上の割合が年々増加を続けている一方で、50歳代以下の割合が減少しており、マンションの居住者の高齢化が進んでいることがわかっています。

マンションは住人の高齢化が進んでいる

若い世代が暮らしたくなるようなマンションを目指す

別の調査では、マンションに高齢者が居住している割合が「60歳以上のみの世帯」は、平均で26%となっています。築年数の古いマンションではさらに高齢化は深刻で、昭和45年以前に供給されたマンションでは「60歳以上のみの世帯」は52%と約半数が高齢者世帯となっています。

高齢化マンションの予防の難しさ

マンションの世帯主の年齢
国土交通省が実施した平成25年度マンション総合調査によると、世帯主の年齢は「60歳代」と最も多く、つぎに「50歳代」が22.8%、「40歳代」が18.9%、「70歳代」が16.5%となっています。
総会でお茶を出してコミュニケーションをとる

総会でお茶を出すなど小さなコミュニケーションからはじめる

若い世代が住みたくなるような、マンションにすることが、高齢化対策で一番大切な予防策です。そのマンションで生まれ育った子供たちが、そこに住まい続けたくなるようなマンションであったり、また、若い世代の第三者がそこを購入したくなるようなマンションにすることです。そうした魅力的なマンションにするための努力している管理組合も多くあります。例えば管理組合主催でイベントやサークルをつくってコミュニティを強化を図るなどの施策です。しかし、そうした事は、そこで既に暮らしている高齢者にとっては魅力的なことであっても、若い世代にとっては人間関係が煩わしいといった逆効果になっているケースもあります。

若い世代にとっては、駅からの距離であったり建物が近代的といったことがマンションの価値であって、マンション内での積極的なコミュニケーションは求めていないからです。インターネットやSNSが若い世代の価値観をかえて、物理的な距離が近いかたより、趣味や価値観があった仲間との時間を大切にしたいという考え方が一般的になってきました。
本当に若い世代をマンションに呼び込みたいというこであれば、高齢者視点ではなく、若い世代をどのように取り込めるのかを、いってみれば経営的な発想で検討しなくては難しいでしょう。

マンションの高齢化による問題

管理組合運営における将来への不安(出所:平成25年度マンション総合調査)
国土交通省が実施した平成25年度マンション総合調査によると、マンション管理組合を運営していく上での将来の不安な点については「区分所有者の高齢化」が57.0%と最も多く、つぎに「管理組合活動に無関心な区分所有者の増加」が34.8%、「理事の選任が困難」が31.8%、「修籍積立金の不足」が28.6%となっています。

問題1│管理組合運営の不活性化問題

マンション管理組合の運営は、これまでは理事会を中心とした自らの「自治」に重点が置かれてきました。区分所有者による理事会が主導してそれぞれのマンションを適正に管理していくことが求められています。しかし、理事会の運営を適正に行うためには、周囲の人々との利害を調整するような調整力・折衝力も求められ、誰にでも担い得る簡単な作業というわけではありません。
ところが、居住者の高齢化が進み、これらの理事会運営を積極的に担える人が少なくなってくるという問題が生じます。その結果として、管理組合の運営活動が滞ったり、管理会社や業者任せになってしまうなどの弊害が生じています。

問題2│経済力の低下と消極的な管理へ

一般的に、高齢者になると収入は年金収入のみとなり、現役世代に比べれば年収が低下するという方が多いでしょう。その一方で、マンションは高経年になればなるほど、修繕の必要性が増大していきますので管理にかかる費用が増加してきます。
そのため、管理費や修繕積立金の負担金をふやしていくことが必要となりますが、居住者の収入が減っているのにくわえ、各々の人生プランにおいてあと何年もないから特に将来を見越した修繕をする必要がないといった消極的な思考から、管理運営を足並みを揃えることが困難になってきます。

まとめ

立地に魅力があるマンションであれば、いわゆるビンテージマンションといわれるような建物自体は古くても管理が行き届いていれば、自然と世代交代がおこなわれ高齢化問題はさほと深刻にはならないでしょう。しかし郊外の駅からバス便といったマンションでは何らかの対策をおこなわないと今後、高齢化問題は起こりえます。

実際に、マンションに高齢者が増えてから高齢者だけの理事会で、高齢化対策をおこなうことは困難になります。前出のとおり若い世代の価値観は大きく変化しているからです。少なくとも同じ建物内に住んでいるということだけで若い世帯が高齢世帯を支えるという発想では、若い世代にとって何の魅力もないでしょう。

こうしたギャップを埋めるためには、今まで以上に若い世代の視点で管理組合運営をおこなうことが重要なことですし、理事会だけでは難しいということであれば、積極的に外部のコンサルタントの支援を受けて、経営的な視点で管理組合運営に取り組む必要があるでしょう。

理事のなり手不足対策
理事のなり手不足対策研究会

当研究会は、マンション管理に携わるコンサルタント有志によって設立されました。居住者の高齢化や、無関心などにより理事のなり手が不足している分譲マンションの問題を解決することを目的とした研究・情報発信をおこなっています。

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